Petit Gallery 〜本のデザイン（3）〜

今年の1月3日に翰林書房の社長および発行人を務めてこられた今井肇氏が亡くなられました。心からご冥福をお祈りいたします。
第3回　Petit Galleryは今井氏とご一緒につくらせていただいた書籍の中から一部を紹介させていただきます。

最初に、造本、装釘の制作を通じて懇意にさせていただいていた須藤康子の言葉です。

…………
お世話になっている翰林書房さんはご夫婦で運営されている出版社です。
装幀ラフをお届けすると、妻の静江さんは夫の肇氏に「どちらがいいと思う？」と最初に相談されます。
肇氏は王道な雰囲気のものを、静江さんは少し冒険をしたデザインを選ばれます。
デザイナーはご提案したデザインへ、率直な感想と意見をいただけると嬉しいものです。
大きな出版社さんほど担当者さんからはなかなか意見が聞けないのですが、翰林書房さんはすぐに感想を話してくれます。そして著者の先生方へは翰林書房さんとして気に入ってくださったデザインを、強く推してくださるのです。
その装幀をいくつか選びましました。　須藤康子

『堤中納言物語の言語空間』 織りなされる言葉と時代
著者：井上新子　発行人：今井　肇　翰林書房

『斎宮の文学史』
著者：本橋裕美　発行人：今井　肇　翰林書房

『漱石辞典』
著者：小森陽一　飯田祐子　五味渕典嗣　佐藤泉　佐藤裕子
野網摩利子　発行者：今井肇　翰林書房

『「鏡」としての透谷』 表象の体系／浪漫的思考の系譜
著者：黒田俊太郎　発行人：今井　肇　翰林書房

『ヨム・ウタフ・琴歌』万葉歌古代歌謡論攷
著者：神野富一　発行人：今井　肇　翰林書房

『平安朝文学論』 表象と強度
著者：葛綿正一　発行人：今井　肇　翰林書房

『芥川龍之介の文学と＜噂＞の女たち』 秀しげ子を中心に
著者：中田睦美　発行人：今井　肇　翰林書房

『漱石深読』
著者：小森陽一　発行人：今井　肇　翰林書房

『尾崎紅葉事典』
著者：山田有策、木谷喜美枝、宇佐美毅、市川紘美、大屋幸世
発行人：今井　肇　翰林書房

『宇治拾遺物語を読む』 中世説話論
著者：葛綿正一　発行人：今井　肇　翰林書房