温故知新!アイディアのヒントが得られるかも…

JDCA会報『Design 書』で本文をガリ版印刷文字風に書いてみた

この1年余り、公私共にあれこれあったために、ブログの更新がすっかり遠のいてしまいました。今回はこの1年間にあったいくつかの「あれこれ」の中のひとつを報告しようと思います。

最初は『Design 書』でエッセイを書いた話です。

『Design 書』は「一般社団法人 日本デザイン書道作家協会」が発行している会報です。筆文字を使った装幀の話を書かせていただきました。
そして本文はフォントを使用せずに、「ガリ版印刷文字風」の手書きのペン字に挑戦しました。

『Design 書』140号表紙
『Design 書』140号表紙
発行日:2022年12月5日 発行所:一般社団法人 日本デザイン書道作家協会
表紙デザイン:美登英利 会報制作:高橋じゅんこ
筆文字・構成・編集・発行責任者:久木田ヒロノブ
A3判 中綴じ 40頁(表紙含)4カラー印刷
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画像は依頼時にいただいた既刊本の中の1冊。いきなり表紙いっぱいに「書」が置かれていた。私の力量を問われ
た感じがして、一瞬、怯(ひる)んだ。

書籍と映画のポスターでタイトルの字体が違うのはなぜか

JDCAのT氏から連絡があったのは去年(2023年)の5月頃でした。既に1年半になろうとしています。JDCAとは「一般社団法人 日本デザイン書道作家協会」の事でT氏は副理事長を務められています。

JDCA協会のHPには「広告媒体用の書を商業書道またはデザイン書道とし、あらゆる書き文字を専門とする職業を「商業書道作家・デザイン書道作家」と位置づけ、エキスパート集団として情報交換や研鑽、社会的認知の向上を目指して活動しています」とあります。

平たく言えば、ポスターや商品のラベル、本のデザインなどの商品で筆文字を書いて活躍している人たちのサポートを行っている団体というくらいの意味でしょうか。詳しくはJDCAのホームページをご覧ください。(一般社団法人 日本デザイン書道作家協会

依頼のきっかけは北野武監督による『首』がカンヌ国際映画祭で上映される事が話題になったことでした。その折に原作本『首』(北野武著、KADOKAWA刊)が紹介されて、表紙に使われた筆文字がT氏の目に留まったのだそうです。

書籍の装幀は島津デザイン事務所の矢野のり子氏が担当し、私が筆文字を書きました。

書籍『首』 北野武著 KADOKAWA刊
『首』 発行日:2019年12月20日
初版発行 著者:北野武 発行者:郡司聡 発行所:株式会社KADOKAWA
装幀:矢野のり子(島津デザイン事務所) 題字:島津義晴
印刷所:旭印刷株式会社 製本所:本間製本株式会社
なお令和5年10月25日にKADOKAWA文庫として出版されている。
紀伊國屋本店エントランスの映画と書籍の『首』コラボポスター
新宿紀伊國屋本店のエントランスの壁に掲げられた、映画と書籍の広告
装幀を担当した矢野氏は無類の本好きで、頻繁に書店に通っている。
この時は紀伊國屋書店 新宿本店にでかけ、映画封切に合わせて書籍とコラボした『首』のポスターを見た。

ここで書籍と映画のポスターのタイトルのデザインについて考えてみます。

私が装幀した書籍が映画化されたことは何度かありますが、ほとんどの場合、書籍の装幀と映画のポスターのタイトルデザインを統一するケースはありませんでした。
「出版と映画では違う」と映画会社の人から聞いたことがありました。何が違うのかずっと疑問のままですが、それぞれの業界でのオリジナリティや表現の立ち位置の違いでそのようになっているものと思っています。

例えば映画のポスターは主に描き文字が使われますが、書籍のタイトルは絵本やコミックを除くと活字(フォント)を使用することが多く、結果的にポスターは動的に、装幀は静的になっています。

広告業界はそれとはまた違っていて、描き文字であろうがフォントであろうが心理学的に「繰り返し見る」効果を重要視します。繰り返しによって購買層に強く印象付け販売促進を図るのが目的なので、企業名や商品名はロゴ化して統一するのが基本になっています。

より多くの人に認知してもらって売り上げに効果を反映させよとする広告関連の現場と、製作(または制作)現場のアイデンティティやオリジナリティに重きをおく映画や出版業界とでは、表現も自ずから違ってくるということです。それでも最近はどちらかと言うと広告業界の手法が主流になってきている感じがします。

良くも悪くも、出版界と映画界の立ち位置の違いに加え広告業界の思惑が多様化を生み出し結果を複雑なものにしているといえます。

『シャイニング』上巻_jacket
『シャイニング』上巻 発行日:1978年03月15日
著者:スティーブン・キング 訳者:深町真理子
発行人:ニコラス・イングルトン 発行所:株式会社 パシフィカ
装幀:島津義晴 カバー・イラスト:依光 隆
印刷・製本:凸版印刷
…………
『シャイニング』は1977年に出版された。日本では1978年に上・下巻がパシフィカから出版されている。
雑誌のロゴタイプ『S-Fマガジン』の場合」で書いた早川書房の編集者(当時)のK君は、後にパシフィカからヘッドハンティングされて企画・編集を任されるようになった。そのK君が「この本、面白いよ」と言って持ってきてくれた装幀の仕事が『シャイニング』だった。K君が日本で初めて紹介したものであった。
この本で私のクレジットが「装幀」となっているのは、駆け出しのデザイナーだった私の名を出してあげようというK君の計らいだった。
しかし仕事の実際は「装幀」とは少し違っている。
この頃の編集者は今でいうブックデザインにおけるアートディレクターの役割を担っていた。K君のこの時の制作方法は早川書房時代からのもので、まずは表紙の絵を誰に描かせるかを考え、デザイン(当時はレイアウト)を誰に依頼するかを決めていた。そして、タイトルレタリングまでも具体的なイメージを指示をしてきていた。
従って、私の仕事はタイトルレタリングをしてイラストとタイトルを配置し、色を決めることだった。装幀家の仕事というよりレイアウターの役割だった。
K君がタイトルをスペクタクル映画風にしたところは、後に映画化されることを見越しているように思える。
『シャイニング』 映画のポスター 海外版と日本版
『シャイニング』 映画のポスター
左がアメリカで公開された時のポスター。右は日本での公開時のポスター。映画はスタンリー・キューブリックが製作・監督し1980年5月にワーナー・ブラザースから公開された。日本での公開は12月。
改装版『シャイニング』 上巻
改装版『シャイニング』 上巻 改装版発行:1980年10月31日
著者:スティーブン・キング 訳者:深町真理子
発行人:尾川 靖 発行所:株式会社 パシフィカ
装幀:島津義晴
印刷・製本:凸版印刷
…………
改装版はアメリカで映画が劇場公開された後にまもなく手がけた。日本公開が決まった後、まもなく日本国内向けのポスターが作られている。
改装版の依頼時に、映画関係(広報?)の担当者からポスターをそのままJacketにしたい旨の注文がついたので、一旦、断った。 ポスターが書籍の表紙らしくないからだった。
ポスターをそのままjacketにした時の書籍の佇まいはあまりにも軽すぎると思った。主にタイトルで使用されているフォント(当時は書体と言っていた)のフォルムが整いすぎていて美し過ぎた。書籍の内容からすると、もっと手書きの味を残した「デモーニッシュ」な書体がいいと思った。
このあたりが、ポスター(広告)作りの立ち位置と装幀(商品)のイメージの持ち方の違いと言える。
広告的には同じ図柄にして繰り返すことで販売促進を考えるのは当然のことだが、この時は加えて別の理由があった。デザインを変える時はその都度、スタンリー・キューブリック氏に許可を取る必要があったのである。どうやら面倒を避けるためだったらしい。
この時、K君はジャケットデザインを見てもらってから許可を得るように交渉してくれた。プレゼンの後、間もなくキューブリック氏からの許可を得た。

『Design 書』からの執筆依頼を疑った

『首』を書いたのは2019年の秋も深まる頃だったので、T氏からの連絡があった時にはすでに3年が過ぎていました。すっかり忘れていました。

話は逸れますが、10年ほど前から生命保険の乗り換えの勧誘や正体不明の電話が多くなり、不審に思っていたところ、しばらくして自分が年金受給の年齢に達していることを知りました。それらに加えて役所や健保などからの通知書類が届くなどして、私は虚実入り混じった情報に疑心暗鬼になっていました。

情報化時代と言われて久しいですが、どこから情報が漏れているのか不審な電話やメールなどが増えて高齢者の私は日に日に悩ましさが増すばかりです。

そんな状況の中でT氏からのコンタクトはありました。何かの勧誘かと妄想したのです。あれこれ考えてみましたが妻の助言もあり、とりあえず会ってみることにしました。当日、副理事長と理事のお二人とお会いし、人柄に触れることでようやく疑念を払拭することができました。

T氏の用件は、JDCAが発行する『Design 書』(季刊誌)への執筆依頼でした。映画『首』が話題になり、封切りが11月に予定されているので、タイミングを計っての依頼だと思われました。

私の受け持つページは年間を通して依頼するものだそうで、季刊なので通常であれば4回の連載になります。しかし、コロナ等感染症対策による行動制限や自粛などがあったために1回分が省かれて、3回の連載になりました。

依頼内容は最初は『首』をテーマにして、残りは筆文字を使った仕事の話と画像をA4見開きでまとめるというもので、ほとんど何の制限もなく誌面を構成させてもらえるというものでした。

「自由」というのは、私たちのような「表現者」にとってはこれ以上のありがたい事はありませんが、一方で難しさも伴います。「ご飯、何がいい」と尋ねた時、「何でもいい(自由)」という返事が一番困るという話はよく聞きますが、そんな感じです。作家さんと違って、主に受注で仕事をしてきた私には面白くもありますが、それに倍して難しくもあったのです。

デザイナーというものは Another One(何か一つ)を考える

もう一つ問題がありました。見本としていただいた既刊本に執筆されているのは書家の方たちが多く、私は書家ではないという事です。これまでロゴタイプや本文中の見出しまで、文字は数多く書いてきましたが、筆文字は決して多くはありません。ましてや、「書」の専門家諸氏が見られる冊子だと思うと腰が引けてしまったのです。

とはいえ、楽しそうな仕事に思えました。誘惑に逆らえずに書かせてもらうことにしました。

最初に考えたのは上述のように、私に与えられた3回分の「構成」です。装幀に使用した筆文字が無いと話になりません。筆文字を使用した書籍を探しました。データや肉筆原稿の有無を確かめながらの作業になりました。

かろうじて3回分の使える原稿の目処がたつと、似通ったテーマを持つ筆文字を周りに配置することを考えました。3回分の誌面構成です。具体的ではありませんが見開きのイメージを大づかみにしました。頭の中でほぼ依頼に見合うだけの誌面ができてきました。しかし、何かが足りないと思ったのです。「言われたまんま」「依頼通り」。一般的に言うと、お客の言う通りに仕上がっていれば上々ですが、私には満たされない気持ちがあったのです。

私のような仕事をしていると他との差別化を重要視します。つまり、どのように目立つか、他と違えるかと言うような事に頭を使います。「Another One」それを考えるのが習性になっているのです。

カッコよくとか面白くという問題とは別次元のものです。

先ごろTBSの日曜劇場で『VIVANT』というドラマを放映していましたが、驚きの連続でした。でも、心に響かない、感動のないドラマとして記憶にあります。驚きだけではつまらない、と思うのです。

一方、先日、放映が終わりましたが『GO HOME~警視庁身元不明人相談室』というのをやっていました。制作費は『VIVANT』に遠く及ばないのではないでしょうか。しかし、全エピソードで涙を誘い、心を暖かくしてくれました。TVを見ていない人たちには理解し難い例えですが、機会を得て是非見比べてみてください。

話を戻します。

ただ面白いではない何か。私は何日か考えた末にガリ版文字でエッセイの本文を書く事を思いつきました。正確にはペンによる「謄写版印刷用文字(ガリ版文字)」です。絵本ならともかく、手書き本文、それもガリ版文字風のエッセイは見かけません。そういう意味では驚きがあると思います。気を衒っただけのアイディアだったら不採用ですが、「謄写版印刷用文字(ガリ版文字)」は、私のブログのテーマだと言っても良いくらいに、語ってきています。その事実が「謄写版印刷用文字(ガリ版文字)」で本文を書くことこそ「Another One」であることを語っていると思いました。

さて、今回はその結果を画像でお見せして終えることにします。

いつもであれば、作り方、書き方などの制作風景を述べるのですがそれは次回に譲ります。

『Design 書』143号表紙
『Design 書』144号表紙
発行日:2023年9月25日 発行所:一般社団法人 日本デザイン書道作家協会
表紙デザイン:美登英利 表紙筆文字:朋嘉 会報制作:高橋じゅんこ 鈴木 愛 大野詠舟
構成・編集・発行責任者:久木田ヒロノブ
A3判 中綴じ 32頁(表紙含)4カラー印刷
『Design 書』143号 p.23-24
『Design 書』143号 p.23-24
「お好きになさってください」と言ってもらったので、最初は恐る恐る、次第に大胆になって好きに作らせてもらった。結果、文字に関してはキャプション以外は、タイトル、サブタイトル、シリーズタイトル、本文と、全て自分で書いた文字で構成してしまった。
『Design 書』143号 p.23本文 書き出しの2段分
『Design 書』143号 p.23本文 書き出しの2段分。
中学生の頃に書いていたガリ版文字を思い出しながら書いたけれど、 あれから50数年が過ぎると、記憶しているイメージと目の前に現れる形には大きな隔たりがあった。
北野武・著『首』 Jacket表
『首』2019年12月20日 初版発行
 北野武・著
発行者・郡司聡 発行所・株式会社KADOKAWA
装幀・矢野のり子(島津デザイン事務所)
題字・島津義晴
装幀において表になっている方(表紙側)で評価されがちですが、我が社での作り方は、折り返しや背、裏表紙をひとつの空間と見立ててデザインする(下の画像)が、同時に、それぞれの部位を独立した空間として認識して素材の造形や配置を考える。つまり、個と全体の2点に視点を置いてデザインする。
北野武・著『首』 Jacketを開いた(展開した)もの
北野武・著『首』 Jacketを開いた(展開した)もの。
ウルトラマンからワンピースまで 『ヒーローたちの 戦うキモチ』装幀
ウルトラマンからワンピースまで 『ヒーローたちの 戦うキモチ』 2015年8月18日 初版発行
林延哉+高田明典・著 発行者・揖斐憲 発行所・サイゾー
造本:島津デザイン事務所 題字・島津義晴
カッコよく書いたつもりでもどこかかわいい。
機関紙『ようげん寺報』でやりとりした手書きのFax.
お寺さんの機関紙『ようげん寺報』の進行を促したFax。
見栄などの鎧を脱ぎ始めると日常的に筆字を書くようになっていた。罫線のない用紙に、出てくる言葉の強弱に合わせるように自由に書いた。
「かわいい」と言われて喜んでいいものかどうか返す言葉がなかった。筆ペン。
『Design 書』144号表紙
『Design 書』144号表紙
発行日:2023年12月10日 発行所:一般社団法人 日本デザイン書道作家協会
表紙デザイン:美登英利 表紙筆文字:玲月 会報制作:高橋じゅんこ 鈴木 愛 大野詠舟
構成・編集・発行責任者:久木田ヒロノブ
A3判 中綴じ 36頁(表紙含)4カラー印刷
『Design 書』144号 p.23-24
『Design 書』144号 p.23-24
『Design 書』143号 p.23本文 書き出しの2段分。
『Design 書』143号 p.23本文 書き出しの2段分。
『風の匠』装幀
『風の匠』稲垣瑞雄・著 2006年9月8日初版発行
発行者:山口昭男 発行所:株式会社 岩波書店
装幀:島津義晴+矢野德子
書家ではない私がアイディアに導かれて筆をとり、 文字を風景にしようと思って描いた。
筆字「風」 装幀用に書いた筆字
筆字「風」。装幀用に書いた筆字。
一般に、書家氏などに「風」を書いてくださいと依頼したら、ほとんどの場合で縦位置の半紙にその一文字を書いてくれる。
装幀のイメージは横に吹き抜ける風であったので、裏表紙まで使った横長の文字になっている。 筆字ありきの装幀ではなく、装幀の過程で生まれた筆文字であった。
筆字【氷柱・つらら】エッセイのタイトル
筆字【氷柱・つらら】エッセイのタイトル。 東京で氷柱を見なくなったのはいつの頃からだろうか。上京してから60年近くになるが氷柱を見た記憶がない。三女が物心ついた頃に、氷柱を見せるために秋田に出かけた。
筆字【煙雨・えんう】エッセイのタイトル
筆字【煙雨・えんう】エッセイのタイトル。 小学校に入った頃から歴史に興味を持ち始めた三女が、伊達家縁・ゆかりの地を訪ねたいと言うので、仙台に出かけた。あいにく雨もよいの一日だったが、伊達家の墓所、廟所などをお詣りした帰途に青葉城址公園を訪れた。公園から市街地を望むと煙雨が人の営みをかき消すように包んでいた。
『Design 書』145号表紙
『Design 書』145号表紙
発行日:2024年3月5日 発行所:一般社団法人 日本デザイン書道作家協会
表紙デザイン:美登英利 表紙筆文字:薛 翔文
会報制作:高橋じゅんこ 鈴木 愛 大野詠舟
構成・編集・発行責任者:久木田ヒロノブ
A3判 中綴じ 28頁(表紙含)4カラー印刷
『Design 書』145号 p.15-16
『Design 書』145号 p.15-16
『Design 書』145号 p.15本文 書き出しの2段分。
装幀『百年の風貌』新藤監督との対話
『百年の風貌』新藤監督との対話 2015/2/25初版第一刷発行
著者:小野民樹 発行者:相澤正夫
造本:島津義晴+島津デザイン事務所 筆文字:島津義晴
発行所:株式会社芸術新聞社 印刷・製本:シナノ印刷株式会社
装幀『無一可(むいっか)』
『無一可(むいっか)』 発行:2000年07月1日
著者:和田重正 発行者:澤 雅子 発行所:(有)くだかけ社
装幀:矢野德子 題字:島津義晴
印刷・製本:(有)コハマ
装幀『極楽(ちえのせかい)』
『極楽(ちえのせかい)』 発行:2000年07月1日
著者:和田重正 発行者:澤 雅子 発行所:(有)くだかけ社
装幀:矢野德子 題字:島津義晴
印刷・製本:(有)コハマ
俳句少年漂流記『ライク・ア・ローリングストーン』
俳句少年漂流記『ライク・ア・ローリングストーン』 発行:2009/01/27
著者:今井 聖
発行者:山口昭男 発行所:岩波書店
装幀:島津義晴+矢野德子
イラスト:大久保友博 題字:島津義晴
読者へのメッセージ
冊子の連載が終了する時に書いた読者へのメッセージ。

[後記]一昨年の大掃除時に不整脈がでました。しばらく横になることで小康をたもったのですが、翌年始に再び出たものだから即病院へ行きました。かかりつけの病院の検査では大きく脈が乱れていて、そのまま大学病院へ再検査に向かいました。大学病院に着いて、待ち時間があったのですが、その頃にはおさまっていました。その日は不整脈の頓服を処方してもらい、何日か検査を続けた結果、冠動脈狭窄が見つかりました。時期を変えて不整脈とともに手術を行うことになりました。半年の間隔で2度の心臓手術を行いました。

昔だったら胸を開いてという大手術になったのでしょうが、カテーテルだったので3泊4日の入院で、即、通常の生活ができるようになりました。科学の進歩とはこういうものかと実感しました。

上述の原稿作成は2度の手術を縫うように、経過観察の期間で行いました。運良くタイミングは合致していて時間を有効に使うことができました。

制作期間中、ブログにあれも書こうこれも、と思い浮かんだのですが、不思議なもので仕事は仕事を生むようです。さらに、そんな時ほど「やってみたいこと」「作りたいもの」が浮かんできます。思った通りに進みませんでした。

動画制作が割り込んできたのです。それも、映画などではなくドラマのタイトルバックやコマーシャルなどで使われる「アニメーション」というものでした。

そんな「タイトル出現」の動画をいくつか作った頃、友人のカメラマンT氏から動画編集の仕事が舞い込みました。「タイトル出現」の動画はAfter Effectというソフトで制作していたのですが、After Effectは時間の長い動画には不向きで、いわゆるドキュメンタリーや映画のような動画はPremiere Proを使います。
娘が小学校卒業時にPTAから依頼されて式の様子などを撮影したものを編集するボランティアを行ったことがあります。その時に初めてPremiere Proを使いました。評判が良くて、娘が卒業してからもボランティアを続けたおかげで随分上達しました。しかし、娘が卒業して10年近く過ぎています。10年間のデジタルの進歩には目を瞠るものがあり、古い知識ではうまく動かすことができませんでした。覚悟して、YouTubeにアップされているチュートリアルで学びながらの制作になりました。

動画は次次回あたりで、完成品をお見せできるかと思います

Premiereなどの学習メモ
YouTubeでの学習なので、全てを文字化する作業から始める。内容を理解しながらなので結構時間がかかった。